忘れちゃいけないクラシックカクテル

カクテル

日々生まれては消えてゆくカクテル達。
無数のカクテルの中から、長い年月を経て多くの人に愛され続けたものがスタンダードカクテルとして名を残します。
しかし時代により味覚の嗜好が変わるのもまた事実。そんな歴史に翻弄されて忘れ去られそうになっているカクテルもあります。
今回は、今では決して目立たないものの、とても美味しい実力派のカクテルをご紹介してきましょう。

1.トム&ジェリー

たまご、砂糖、ラム酒を混ぜ、そこにお湯もしくはホットミルクを注いだカクテルです。
アメリカやヨーロッパではクリスマスシーズンを中心に活躍する、寒い時期の定番カクテル。
その歴史は古く、今ではBAR必須のアイテムとなっているシェイカーやミキシンググラスが登場する遥か前から飲まれてきたカクテルなのです。
現代では、たまごと砂糖を事前にしっかりと混ぜ泡立たせたところに、お酒を加え、完成したものもふわふわとした食感に仕上げます。
使っている素材からイメージしても分かるとおり、実に穏やかで、ナイトキャップとしても最適です。
ただ、世の中のドライ傾向もあり、最近ではオーダーのケースも減ってしまっています。

2.ウイスキー・マック

お好みのウイスキーをジンジャーワインで割ったカクテル。
ジンジャーワインと言うのは耳慣れない方も多いかもしれませんが、その名の通り生姜の風味が特徴的なリキュールです。
ただ日本のBARでは最近あまり用意されていないリキュールの一つですので、物理的に作ることが困難なため、飲む機会を失ってしまっているといえます。
このジンジャーワインの特徴は、ウイスキーとの和合性の高さ。あわせるイウスキーがどんな銘柄であろうとも、その特徴を引き出してくれます。
アイラモルトならばピーティーさの個性をより引き出しますし、ブレンデッドならばバランスのよさを引き出してくれます。
また冬場などはウイスキーマックをお湯で割りホットにしても、身体が芯から温まる素晴らしいカクテルとなってくれます。
もしバックバーにジンジャーワインを発見したら、一度は試してみてください。

3.カカオフィズ

カカオリキュールにレモンジュースと砂糖を加えシェイク。それを氷の入ったタンブラーグラスへと移し、ソーダで割ったカクテルです。
味わいは、ほんのりとしたチョコレートの香りが漂いつつ、バランスのよい酸味があり飲みやすいのが特徴。ただし、強烈な個性や自己主張はありません。恐らくはその辺がネックとなり、最近では忘れ去られた存在となっているのでしょう。
しかし、このカクテルは戦後、街中にBARが開店し多くの人がお酒を楽しめるようになった時代に大活躍した一杯です。
使う素材はシンプルですが、これは当時自由に洋酒が手に入らなかった頃に、何とか限られた素材で作れるカクテルだったため。
しかも当時は、レモンがまだ高価だったので、レモンパウダーで代用していました。つまり当時よりも確実にいまの方が美味しいカカオフィズを楽しめるわけです。
最近注文するのは、当時を懐かしむオールドファンばかりですが、日本のBARを振り返る意味でも、一度注文してみてはいかがでしょうか?

4.マンハッタン

ライウイスキーをベースに、スイートベルモットとアンゴスチュラビターズを加えステアしてつくるカクテル。
カクテルの女王とも呼ばれていますが、一方の王様マティーニに比べると、最近は注文の入る比率が歴然の差となっています。
恐らくはウイスキーブームの中で「ウイスキーはなるべくそのまま飲みたい」という心理が働いているものと思われます。
また、ドライで辛口なマティーニに比べ、ムッチリとした感じの肉付きのよい甘さがあるのも、時代には合っていないのかもしれません。
ただ、女王の座から陥落するには惜しいカクテルです。ちなみにベースをスコッチに変えるとロブ・ロイというカクテルになります。
ヨーロッパでは、マッカランを使ったロブ・ロイを「パーフェクト・ロブ・ロイ」などと呼ぶ人もいます。

あまたあるカクテルテルの中から、最近忘れられがちな一杯をご紹介しました。
今回取り上げたカクテルは、どれも少し古めかしいものばかりかもしれません。ただ歴史に裏打ちされ、多くの飲み手の舌により磨かれてきたカクテルばかりです。是非一度お試しください。

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