深刻化?ウイスキーの原酒不足に迫る

ウイスキー関連の情報を追いかけていると、最近特に目にするのが「原酒不足」という言葉。
日本国内では、これまで定番だった商品が終売となるなど、消費者への影響も出てきています。
今回はウイスキーの原酒不足について、深く学んでいきたいと思います。

1.原酒不足を理解するためには


ウイスキーの原酒不足騒動を理解するには、そもそもウイスキーとはどんなお酒なのかを理解するのが不可欠です。
ウイスキーは大麦麦芽からつくられたお酒を、必ず樽で熟成させなくてはなりません。もっといえば、この樽熟成があるからこそ、ウイスキーはウイスキーであるわけです。
しかし同時にこれは、ウイスキーが急激な需要の変化に対応できないことを意味しています。
通常の商品であれば、人気が爆発し需要が拡大したならば生産量を増やすことで、需要を漏らすことなく受け止めるでしょう。
しかしウイスキーは、人気が出たからと言って増産できません。仮に蒸留する量を増やしても、それがウイスキーとして出荷できるには数年の歳月を要します。
しかもある程度のレベルのウイスキーとなると、10年以上の期間が必要となるわけです。つまり、いま起きている事象に、いま対応するのが困難なのがウイスキーなのです。

2.ウイスキーづくりは長期的視点


ウイスキーの蒸留所には、大量の樽が眠っています。それは原酒不足といわれる現在でも変化はありません。
思わず「その樽を出荷すればいいのに」と思うかもしれませんが、それにもウイスキー独特の事情が関係してきます。
確かにいま、貯蔵庫に眠っているウイスキーを出荷すれば、拡大する需要を全て消化し、潤沢な利益をあげられるかもしれません。しかし数年後を考えると、完全に出荷できるウイスキーがなくなってしまうという、最悪の事態につながります。
現在我々が飲んでいるウイスキー。例えばそれが12年ものならば、最低でも12年間様々な人々が、そのウイスキーが出荷できるために情熱を注いできたのです。
一時の利益を考えて、全てを売りつくすのではなく、しっかりと長期的展望で出荷をする。そんな通常の企業とは異なるスパンで経営戦略を考えるのがウイスキーメーカーといえるでしょう。

3.ウイスキーの年数表示の基準は?


ウイスキーのボトルを見てみると、○年のような年数表記のあるものから、全く年数表記の無いものまでが存在しています。
年数表示がある場合、例えば12年との表示があったとしましょう。これは12年熟成した原酒のみを使っているというわけではありません。
この場合「ボトルの中に使われている原酒は、最低でも12年以上の熟成を経たものですよ」ということを意味しています。
つまり年数表記をするということは、表記されている年数の熟成を経たウイスキー以上のものを、ストックとして抱えていないといけないという事になります。
ウイスキーブームが訪れ、長い熟成年数のものが売れ出せば、それだけ古い原酒は無くなって行きます。
メーカー側も様々な努力をしていますが、その限界を超えた結果が、最近の原酒不足ということが出来るでしょう。

4.原酒不足の救世主?ノンヴィンテージとは?


原酒不足がニュースになる直前くらいから、メーカー各社が主要ブランドのノンヴィンテージ商品を盛んに販売するようになりました。
サントリーならば山崎や白洲。ニッカも終売を発表した余市や宮城峡をノンヴィンテージ商品で販売するとしています。
ノンヴィンテージの場合、最低限の熟成を経たものを混ぜても、出荷できるというメリットがあります。
当然味わい的には、熟成を経た深みや複雑さは得られないですし、実際飲んでみても若さを感じます。
しかしメインブランドを維持し、今後につなげて行くという点では、ノンヴィンテージを出し、味を知ってもらうことは意義がある戦略と言えるでしょう。

原酒不足は、ハイボールから始まるウイスキーブームが生んだ思わぬ側面です。
長年人気低迷だった、日本のウイスキー界は現在活況を呈しています。
ハイボールブームを経て、生まれたウイスキーが十分な熟成期間を経て市場に出回るのは、2020年の東京オリンピックの頃。
その時まで、しっかりとウイスキーを愛し飲みつつけることが、今後のウイスキー文化を支える重要な行動といえるのでは無いでしょうか?

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