波乱万丈アイリッシュウイスキーの魅力とは?

ウイスキー

ウイスキーづくりでスコットランドに負けない歴史を誇るのがアイルランドです。
しかしアイリッシュウイスキーは時代に翻弄され、繁栄と没落そして復活を経験してきました。
今回はそんなアイリッシュウイスキーの歴史と魅力に迫ります。

1.アイリッシュウイスキーの定義とは?


アイリッシュウイスキーとはアイルランド島で作られたウイスキーのことです。
アイルランド島にはアイルランド共和国と北アイルランドがありますが、どちらで生産されたウイスキーもアイリッシュと呼ばれます。
ウイスキーの起源は諸説あり定かではありません。ただアイルランドを起源とする説も根強く、12世紀には既にウイスキーが飲まれていたとの伝承もあります。

2.アイリッシュ繁栄と没落の歴史


長い歴史を誇るアイリッシュは、品質の高さでも評判となり、最盛期には世界シェアの6割を占める人気となりました。
高品質ウイスキーの代名詞といえばアイリッシュとなり、国内経済を支える重要な輸出品となりました。
一説には18世紀には大小合わせおよそ2000、その後統合が進んでもおよそ160の蒸留所が稼動していたといわれています。
そんなアイリッシュに変化が訪れたのは、1919年にアメリカで施行された禁酒法。影響は単に大口の輸出先を失ったというだけでは収まりません。
禁酒法下のアメリカでは闇ルートで酒が流通し、その中には粗悪なウイスキーも含まれていました。
そんな粗悪品に業者はアイリッシュのラベルをつけ流通させたため、一気にアイリッシュのイメージは低下してしまったのです。
これはアイリッシュが当時ウイスキーの代名詞となっていたことから起こった悲劇ともいえます。
さらにその後のアイルランド国内の政情不安や独立運動など、様々な要因もあり経済的にも疲弊していき、蒸留所は次々と閉鎖。
かつて世界を席巻したアイリッシュウイスキーは、存在すらも風前の灯となってしまったのでした。

3.アイリッシュの復活


政治的要素も加わり低迷していたアイリッシュでしたが、意外なところから復活の兆しを見せます。
それがアイリッシュコーヒーという、コーヒーにアイリッシュウイスキーを混ぜたカクテルです。アイルランド生まれのこのカクテルは、世界中で人気となり、それとともに再びアイリッシュに注目が集まります。
さらにはアイルランドで操業していた数少ない蒸留所が合併し、資本の集中と効率化で国際競争力アップを図りました。
現在創業している蒸留所は4つのみと最盛期に比べると寂しい限りですが、確かな品質のものを生み出し支持を集めています。

コーヒーと生クリーム、アイリッシュウイスキーで作るカクテル『アイリッシュコーヒー』

長らく低迷していたアイリッシュウイスキー復活の足がかりとなったカクテルです。
元は欧州から北米への旅客機の中継地点となっていた、アイルランドの空港で出されたカクテル。ウイスキーをホットコーヒーで割り、上にアイルランド名物の生クリームを浮かべたものです。
この美味しさが、空路とともに世界に広がり、定番のカクテルとなりました。

4.味わいの特徴は?


アイリッシュの特徴は、通常2回の蒸留を3回行ない、よりクリアな原酒を作る点にあります。
さらにピートを使わないためクセもなく、大麦やライ麦などの原材料の味わいをストレートに感じることが出来ます。
つまり、どんな人にも抵抗感なく受け入れられやすいウイスキーといえるでしょう。

5.代表的銘柄


わずか4つの蒸留所しかないですが、世界に誇る銘柄を生み出しています。ここからは、アイリッシュの代表的銘柄を紹介します。

・ブッシュミルズ


北アイルランドにある唯一の蒸留所。ノンピート麦芽を使用し3回蒸留を行なう典型的なアイリッシュとされています。熟成樽も定番のバーボンやシェリーの他、多種多様なものを使用するなど実験的な試みもしています。

・ジェムソン


アイリッシュの中で最も知名度があるウイスキー。1780年の創業当時からパワフルなウイスキーとして知られていました。
しかしアイリッシュ全体の低迷時代に、都会的でクリアな味を求める世界的な傾向をいち早く味に取り入れ、復活の原動力としました。

・タラモアデュー


村上春樹さんのエッセイ「もし僕らのことばがウィスキーであったなら」にも登場するウイスキー。
大麦のジュースを飲んでいるかのような豊かなモルティさと甘さが特徴。アルコールの刺激ではなく、モルトの丸さを感じられる穏やかな癒し系ウイスキーです。

・カネマラ


アイリッシュの中では珍しいピートを炊き込んだ、強烈な個性のあるウイスキー。アイルランドで最も新しいクーリー蒸留所が送り出した、アイリッシュの伝統を打ち破る新しいアイリッシュです。

多くの人の情熱により、復活を遂げた歴史を振り返ってみました。アイリッシュを片手に、ウイスキーにこめられた復活への熱意を是非感じてみるのも素敵かもしれません。

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