「スコッチとバーボンて何が違うの?」
ウイスキー初心者が最初にぶつかる疑問の一つが、「スコッチとバーボンって何?」という疑問です。
お店のお酒コーナーに行っても、同じウイスキーの棚に並んでいるのでいっそう混乱してしまいます。
商品名なのか?
それとも味の違いなのか…。
世界中でつくられているウイスキーですが、5大産地と呼ばれている場所があります。
それはスコットランド・アイルランド・アメリカ・カナダ・日本の5か国です。
日本のウイスキーづくりは、20世紀に入ってからと歴史は他の国に比べると浅いのですが、ブラインドテイスティングで行なわれる国際的品評会でも高い評価を得るなど注目を集めています。
さて本日のテーマであるスコッチとバーボンについてですが。
- スコッチ=スコットランド産ウイスキー
- バーボーン=アメリカ産ウイスキー
となっております。
お互いに規定された条件を満たすことでそれぞれの名前を名乗ることができます。
ウイスキー界に君臨する二大勢力スコッチとバーボンの謎に迫ります。
スコットランドで細かい規定をクリアしたウイスキーだけがスコッチを名乗れる!
スコッチ = スコットランド
蒸留所ごとに個性があり、多種多様な風味がある
ウイスキーの代名詞ともいえるスコッチですが、正確にはスコットランドでつくられたウイスキーを指す言葉です。
ただスコットランド内でつくれば全てがスコッチを名乗れるかといえばそうではなく、使用可能な原材料、熟成方法と期間、アルコール度数…などを細かく規定した法律をクリアしていないと名乗ることは許されません。
かつて現在ほど原産地呼称という概念がなかった頃には、ウイスキー=スコッチのイメージから、色々な場所で作ったウイスキーに「スコッチ」の名前が使われることがありましたが、現在は許されていません。
スコッチは世界の憧れ
ウイスキーは世界中でつくられていますが、作り手と飲み手双方にとってスコッチは、唯一無二といっていいほどの存在です。
それはワインの世界で、どんなにニューワールドの高品質のものが出てこようとも、フランスが特別な存在であるのと同じような感覚といっていいでしょう。
そもそもスコットランドはウイスキーづくりに必要な、冷涼な気候、香りの大きな要素のひとつであるピート(泥炭)が豊富にあるなど、環境面でもウイスキーに最適な場所でした。
そんな環境でつくられるスコッチは、蒸留所ごとの信念をボトルに詰めたような個性あふれる存在です。そのため「スコッチはこんな味」と一言でまとめられません。
多種多様な表情をみせるスコッチ。
だからこそ人々は様々なスコッチを飲みたくなるのです。

スコットランドで一定の要件を満たして作られたウイスキーがスコッチなんだね

それでは次はバーボンについて説明していきましょう!
スコッチとは違う地平線を目指した、ウイスキーの両巨頭の一つ『バーボン』
バーボン = ケンタッキー州
樽由来のウッディーな香りやバニラフレーバーが豊か
一方のバーボンのイメージには、無骨で無口な男がカウンターで煽るお酒といったワイルドさが付きまといます。アメリカで誕生したバーボンは、スコッチとは違う地平線を目指した、ウイスキーの両巨頭の一つです。
そんなバーボンの歴史や味わいの魅力に迫ってみましょう。
バーボンと名乗るにも細かい規定をクリアする必要がある
バーボンは主にアメリカのケンタッキー州で作られている、トウモロコシなどの穀物を原材料としたウイスキーのことです。
法律により使用可能な原材料や、蒸留時とボトリング時のアルコール度数など細かな規定があり、これをクリアしないと名乗れません。熟成に使用する樽も新樽を使うことも規定されており、さらにその樽はしっかりと内部を焦がす工程を経なくてはなりません。
この影響で樽由来のウッディーな香りやバニラフレーバーが豊かなのも特徴となっています。
バーボンの飲み方は?
飲み方は自由自在に!
飲み方はスコッチなどと同じく、ストレート・ロック・ソーダ割りなど一般的なウイスキーと変わりなく楽しめます。
シングルモルトの場合「ロックだと繊細な香りが閉じる」と敬遠する人も少なくありません。しかしパワフルなバーボンはロックでも負けず、それどころか新しい魅力を見せてくれます。
ソーダ割り(ハイボール)も、炭酸の効果で穀物由来の甘い香りが強調さることから人気の飲み方です。
ただバーボンの故郷アメリカの自由なお国柄を反映してか、ご当地ではかなり自由な飲み方で楽しまれています。
カクテルの材料としてはもちろん、コーラなど様々な炭酸飲料で割って飲むのもよく目にします。ストレートで注文してチェイサーにコーラを頼むなんて人もいるくらいです。
自分が最も美味しいと思う飲み方をするのが、バーボンの魅力を最も引き出すと思った方が良いかもしれません。
ウイスキーの飲み方に関する記事はコチラをご覧ください。
バーボンの代表的銘柄
バーボンにも当然ながら蒸留所ごとに個性があり、飲む人の好みによっても、どの銘柄を推奨するかはまちまちです。
ここでは、お店でも入手しやすい代表的な銘柄を挙げてみたいと思います。
ワイルドターキー
バーボンを代表する銘柄。
法律で定める蒸留時の上限アルコール度数よりも低いアルコール度数で蒸留していますが、これはなるべく加水量を少なく出荷するためです。
バーボンとはどんなウイスキーかを知るにはうってつけの一本です。
I.W.ハーパー
飲みやすさを追求したバーボン。
通常のバーボンよりトウモロコシの使用比率が高いため、まろやかで甘みあるテイストが特徴です。過去に博覧会で5つのメダルを獲得したことから、現在もラベルにはメダルが描かれています。
ジムビーム
世界120カ国以上で飲まれ、シェアはおよそ41%という人気を誇るバーボンの代表的銘柄。
銘柄を保有していたビーム社を日本のサントリーが買収したため、日本でもここ数年急速に売り場で見かけるようになりました。
フォアローゼス
異なるフレーバーの10種類もの原酒をつくり、それらを混ぜ合わせ完成するバーボン。
名前の由来は、創業者が一目惚れした女性にプロポーズした際の、素敵なエピソードに由来しています。
ブラントン
キャップが騎手と競走馬というユニークなボトルのため、見た目からも覚えやすいバーボン。味わいはパワフルで重厚なのが特徴です。
一つの樽のものだけをボトリングするシングルバレルのため、樽ごとの違いも楽しむことも出来ます。
ジャックダニエルはバーボンではない?
あまりお酒に詳しくない方でも、ジャックダニエルの名前くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。
多くのロックアーティストが愛飲したことから、一時期は洋楽ファンやロックファンの憧れとなっていたウイスキーです。
ジャックダニエルの蒸留所があるのは、バーボンの本場ケンタッキー州のお隣のテネシー州。製造工程は途中まで同じですが、最後に厚さ3メートルに敷き詰めたサトウカエデの炭で濾過する工程があります。
この工程があるため、ジャックダニエルをはじめテネシー州で作られるウイスキーは自らを「テネシーウイスキー」と名乗っています。
バーボンを使ったカクテル『ミントジュレップ』
グラスの中でミントを砂糖とともに潰し、クラッシュアイスをグラスにつめたら、その上からバーボンと炭酸水をそそぐ。これがミントジュレップの基本的なつくり方です。
最近流行のモヒートのバーボンバージョンといえるかもしれませんが、かなり歴史の古いカクテルです。
アメリカ競馬の祭典ケンタッキーダービーのオフィシャルドリンクともなっていて、レース当日に数万杯単位で売れる名物となっています。
ケンタッキーダービーで使われるのはアーリータイムズですが、どのバーボンでつくっても、美味しいカクテルとなります。
最近は世界的シングルモルトブームの影に隠れがちなバーボンですが、飲んでみると実に魅力的で奥深さがあることが分かります。コッチばかりもいいですが、時にはまったく別の世界観をもったバーボンの世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか?
スコッチとバーボンは利用する樽でも違いがある
スコッチとバーボンは使う樽が違う

バーボンで少し説明したけど、スコッチとバーボンでは利用する樽の規定が違うよ。バーボンのほうが樽の風味が強いんだ!
ウイスキーづくりに欠かせない樽ですが、これにも大きな違いがあります。
バーボンづくりでは「必ず新樽を使わなくてはならない」との規定があります。そのためウイスキーを仕込み終わる度に大量の使用済み樽が発生してしまいます。
このままでは行き場を失った樽であふれかえってしまいますが、バーボン熟成で使った樽は、スコットランドへと行き再び樽として活用されています。
繊細な味わいのスコッチの場合、新樽を使うとあまりに木の香りが出すぎてバランスを壊してしまうため古樽を使い熟成させてきました。
以前はシェリーを熟成させたあとのシェリー樽が主流でしたが、入手しやすく大量に出回るバーボン樽が現在の主流となっています。
バーボン側にとっては無駄な樽の処理が出来、スコッチ側にとっては安定して安値で大量の樽の確保が出来るという関係が成り立っているわけす。
スコッチもバーボンも世界中で愛されているウイスキーです。
味わいが両者で全く異なりますので、一度は両方を試してみてお好みを見つけてみたり、気分によって選ぶようになれば、ウイスキーの世界をより楽しめるのではないでしょうか。