ブレンデッドウイスキーは、ウイスキー全体の流通量でみると8割超のシェアを誇っているウイスキーの主流派です。
個性を楽しむシングルモルトが近年人気ですが、調和を楽しむブレンデッドは、ウイスキーの懐の深さを教えてくれる存在といえます。
今回はそんなブレンデッドの奥深い世界を紹介していきましょう。
そもそもブレンデッドウイスキーとは?
ブレンデッドを理解する上で覚えておくべき言葉が、モルトウイスキーとグレーンウイスキーの2つです。
モルトウイスキーとは
モルトウイスキーは大麦麦芽のみを原材料として製造されたウイスキーのこと。一つの蒸留所のモルトウイスキーのみをボトリングしたものが、シングルモルトウイスキーです。
グレーンウイスキーとは
グレーンウイスキーはトウモロコシ等の穀物を原材料として作られたウイスキーです。大量生産に向きクセのないクリアな味が特徴です。

様々な蒸留所のモルトウイスキーを集め調合し、そこにグレーンを加えて全体を整えたものがブレンデッドウイスキーです。
シングルモルトブームの影響で、なかにはブレンデッドを軽視する人もいます。しかしブレンデッドは決して原酒を割っただけの単純なウイスキーではありません。シングルモルトは蒸留所や育った環境を如実に表し強い個性があります。
一方でブレンデッドは、様々な個性をまとめ上げて絶妙のバランスを生み出した調和が魅力のウイスキーとも言えます。
ブレンデッドウイスキーを調合するブレンダーという存在
ブレンデッドウイスキーにとって最も重要なのは、様々な原酒を選別し、理想の味のため調合を決めるブレンダーという存在です。ブレンデッドはオーケストラに例えられることが多いですが、ブレンダーは指揮者の立場といえば分かりやすいでしょう。
人気ウイスキーのブレンダーともなれば、ウイスキーファンからはカリスマ的人気を誇るほどです。
ブレンデッドウイスキーを味わう
調和の美を堪能できる、ブレンデッドウイスキー。
ここではスコッチの中から、珠玉の調和を感じられるブレンデッド銘柄を紹介します。
・バランタイン17年
「ザ・スコッチ」とも称される、究極のブレンデッドスコッチです。40種類もの原酒が使われていますが、どれもシングルモルトとしても評価の高い銘柄ばかりで、いわばスターばかりを集めた映画のようなウイスキーです。
芳醇な香り、まろやかな甘み、フルーティーで心地よいのみ心地と、賞賛の声は尽きません。
・ジョニーウォーカーブラックラベル
かつて「ジョニ黒」の愛称で、憧れの存在だったウイスキー。
酒税法の改定で以前に比べると価格は大きく下がり入手しやすくなりましたが、ボトルの中身は当時と変わっていません。ピーティーな香りと、コクのある味わいが特徴です。
・シーバスリーガル12年
「スコッチ界の貴公子」と呼ばれているのがこのシーバスリーガルです。
華やかでフルーティーさのあるエレガントな香りと、クリーミーな味わいは、誰しもがうっとりする中性的なイケメンを思わせます。
・オールドパー
岩倉具視が欧州から日本に持ち帰ったとされるほど、歴史あるウイスキー。
それゆえか戦後も吉田茂など大物政治家に愛され、日本政治の保守本流のど真ん中に鎮座していたウイスキーです。
味わいも厚みのある信頼感あふれるテイスト。ボトルを斜めにしても倒れないというのはBARではお馴染みの小話の一つです。
ブレンデッドウイスキーはお財布にやさしい
ブレンデッドウイスキーは、お財布にやさしい手ごろな価格のものが多いのも特徴。
1000円前後の価格帯にも、普段から飲むには最適な安心できるウイスキーが数多く存在しています。
スコッチならば軽やかなカティサークや値段以上の深さを感じるバランタインファイネスト。さらにこの価格帯では最もピーティーとされるティーチャーズハイランドクリーム。スコットランドで人気No.1のフェイマスグラウスに、アメリカでの人気No.1で日本のバーテンダーからも支持の高いデュワーズホワイトラベル。
日本に目を移せば、サントリーのオールドや、ニッカのブラックニッカシリーズなど、様々な商品がそろっています。
まずはこの辺を足がかりにして、日々のウイスキーを楽しんでみてはいかがでしょうか?
シングルモルトブームの影響で、なかにはブレンデッドを軽視する人もいます。
しかしブレンデッドは決して原酒をグレーンで割っただけの単純なウイスキーではありません。
個性を求めるシングルモルトに対して、調和という別の世界を目指したウイスキーなのです。
入門編としても、シングルモルトを一通り飲みつくした後であっても、ブレンデッドウイスキーは新たな驚きを与えてくれる存在なのです。