赤ワインで使われるブドウの品種徹底比較

ワイン

赤ワインを買いたいんだけど、ブドウの違いによる味の差ってどんなのかな?

赤ワインで使われるブドウは様々な品種があります。

それぞれのブドウには特徴があり、ワインとしての飲み心地があります。ワインの基礎となるブドウの特徴について解説していきましょう!

紹介する4品種

  • カベルネソーヴィニヨン:どんな条件でも結果を残す人気者
  • ピノノワール:豊かな芳香、ただ栽培条件が難しくボトルにより風味が変わる
  • メルロー:飲みやすい、穏やかなワイン品種
  • シラー:野性味あふれるパワフルさが魅力

現代ワインの人気者『カベルネソーヴィニヨン』

世界中に数多くあるワイン用のブドウ品種の中でも、カベルネソーヴィニヨンは最も有名な品種です。

フランスはもちろん、世界各国で栽培され様々なワインを生み出しています。
そこで今回は、赤ワインブドウ品種の代表格カベルネソーヴィニヨンを学んでいきましょう。

ワイン界を揺るがした大事件が躍進のきっかけに

フランスのワインづくりは、長い歴史を誇っています。

そんな歴史の中で、カベルネ・ソーヴィニヨンが人気品種となったのは、19世紀後半に入ってからです。長い歴史と比較すれば、まだ新人の部類ともいえます。

それまでフランスワインの主役を張っていたのはマルベックやカルムネールといった品種でした。

しかし19世紀末にフィロキセラという害虫がフランスに上陸し、次々とブドウの木を枯らしていってしまいます。

原因も分からず、試行錯誤が続けられましたが、フランスのワインづくりは壊滅的状況へと追い込まれてしまいました。

研究の結果、害虫が根を食い荒らすことが原因と判明しました。対処方法として、害虫に耐性のあるアメリカ種のブドウを台木として、接木することで復活を遂げたのです。

しかし、かつて主役だった品種は台木との相性が悪く、さらに他の病気にも弱かったために栽培品種としては適さないものになってしまいました。

変わって新時代のニューヒーローとなったのがカベルネソーヴィニヨンだったわけです。

ボルドーの名シャトー=カベルネソーヴィニヨン

ワインに詳しくない人でも知っている有名なワインの銘柄。

シャトーマルゴー、シャトーラフィット、シャトームートン、シャトーオーブリオン。

ワインマニアならば、人生で一度は楽しみたいと思う、これらの銘柄は全てカベルネソーヴィニヨンを主体としたワインです。
つまりタンニンが多く、長い熟成を乗り越えてより自らの血肉とする。そんな特性を持ったブドウ品種といえるでしょう。

世界中で栽培される代表銘柄

ボルドーの有名シャトーがメインで使っているとなれば、他のワイン新興国もそれを規範にカベルネソーヴィニヨンを栽培します。

この品種が好む栽培環境は、温暖で水はけのよい土壌です。
降水量が多い場所では熟成がうまくいかず、ピーマンのような匂いのするワインになってしまいます。

ワイン新興国ではワインづくりに適した土地を探しブドウの栽培を行ない、さらに灌漑設備も完備という条件で栽培されています。

自然任せではなく、人類の技術も駆使して、最高の状態のカベルネソーヴィニヨンを仕上げることが出来るわけです。

そんな背景から人気はフランスを飛び出し、世界で最も多く栽培されるワイン用ブドウの代表格となったのです。

シングルマッチよりもタッグマッチが得意?

これだけの偉大なブドウ品種ですが、意外なことにフランスではカベルネソーヴィニヨン単体でワインをつくることは殆どありません。

先ほど挙げた有名シャトーのワインも、全て他のブドウ品種を混ぜて醸造されています。

その理由は気候風土。フランスではワイン産地といえども冷涼で、日差しも穏やかなものです。そうなるとブドウ由来の圧倒的な果実味を引き出すことが困難となってしまいます。

そのため、足りない部分を補完するために、他の品種を混ぜて醸造されます。
一方で、強い日差しと品種に適した温暖さを持つニューワールドでは、単体で醸造されるケースを多く見かけます。

味の特徴は?

太陽をたっぷり浴びた場合は、カシスやブルーベリーといった味わい。しかもそれらを煮詰めたジャムのようなこってりとしたパワフルさを発揮します。

反対に日照不足だと、完熟せずにピーマンのような青臭さが残ります。
両者はバランスの問題で、両方の要素が備わってこそ気品ある味わいのワインとなります。

ただ一ついえることは、世界中のどの産地のものでも、カベルネソーヴィニヨンはしっかりと美味しいワインに仕上がります。
もしワイン選びで迷ったら、カベルネソーヴィニヨンを選べば、大ハズレはないでしょう。


現代赤ワインの主役、カベルネソーヴィニヨンは高級ワインからお手ごろワインまで幅広いレパートリーがあります。
初心者から上級者まで、それぞれの段階に応じて楽しめる、懐の深い品種といえるでしょう。

一度はまったら抜けられない『ピノノワール』

ピノノワールというブドウ品種をご存知でしょうか?

赤ワイン品種としては、カベルネソーヴィニヨンと並ぶ。いや、マニアの間ではそれ以上の知名度があるかもしれない品種です。

この品種、一筋縄ではいきません。今回はそんなピノノワールの魅力に迫ってみましょう。

ブルゴーニュワインの代名詞

フランスワインを代表する、二大産地ボルドーとブルゴーニュ。

その片方、ブルゴーニュで栽培されているのがピノノワールです。
お酒を飲まない人でも名前くらいは知っているであろうロマネ・コンティもピノノワールからつくられています。

ピノノワールの特徴を語るのは、ブルゴーニュワインの特徴を語ることといわれています。

それはピノノワールの場合、他のブドウ品種と混ぜて醸造されることは無く、常にピノノワール100%で醸造されるから。

ブルゴーニュ地方にあまたある魅惑の銘酒。それらは全てピノノワールによってのみ構成されたワインなのです。

ピノノワールの特徴

最大の特徴は、グラスに注いだ瞬間にクラクラしそうなくらいに漂ってくる豊か過ぎる芳香です。

この香りだけで、ピノノワールと分かるほどの、衝撃的な差があります。

栽培に向くのは冷涼な気候の土地。反対に温暖な土地では命とも言える香りもなくなって、平均的で凡庸なワインとしかなりません。また石灰質の土壌で栽培した方が、より複雑で多層的な香りになるとされています。

つまり、そんなピノノワールが100%の力を発揮できる環境がブルゴーニュ地方なのです。

ニューワールドの生産者も、懸命にピノノワールを栽培しています。しかし残念ながらフランスを越えるワインは誕生していません。

より正確に言えば、ブルゴーニュ地方であっても畑の位置や傾斜の違いにより、隣同士の畑でも全く品質の異なるワインになります。

針の穴を2つも3つも通すような条件をクリアしてこそ、ピノノワールは我々に真の実力を見せます。そんな気難しさにワインマニアは魅了されるのです。

ブルゴーニュならではの醸造法

ピノノワールは、例えばもう一つの代表的赤ワイン用ブドウ品種のカベルネソーヴィニヨンと比べると、皮の色も薄くタンニンも少ない品種です。

そのためブルゴーニュ地方では古くから、ブドウの房を潰さないでそのまま醸造槽にいれ、自重で果汁を搾る方法がとられてきました。

この時点で流れ出た果汁は、再びブドウの上からかけられます。そうするうちに発酵が始まりますが、元の果汁だけでは発酵が終わってしまうので、そのタイミングで、少しだけ果実を潰す。また発酵が始まるものの、収まるので、また果実を潰し発酵を再開させる。こんな方法でブドウから香りと色を引き出す製法が伝統的に採用されています。

重要なのは土地?それとも遺伝子?

偉大なピノノワールのワインはブルゴーニュ以外では残念ながら誕生していません。
他の品種では新興国が最新の技術を導入して、古いしがらみに手足を縛られたフランスワインを超えるものを生み出しているのとは大違いです。

その理由は、先ほど述べたとおり気候や土地に大きな影響を受ける品種だからという点にあります。
そのため、一部のワイン評論家の中には「ブルゴーニュと見分けのつかない土地を探す以外、新興国がブルゴーニュを超える方法は無い」という人もいるほどです。

しかし遺伝子科学の発展により、同じピノノワールといえども、フランスと他の国で使われているブドウの遺伝子が異なっていることが判明しました。

元々ピノノワールは遺伝子的に不安定なのか、突然変異の起きやすい品種でした。
そのため栽培しているうちに変異が起こり、ブルゴーニュのピノノワールとは異なるブドウになっているため、味が再現できなかったわけです。

そのため近年は、ニューワールドの醸造家たちは、優れた遺伝子のピノノワールを導入しワインづくりをしています。

そんなワインの中からは、ワイン評論家も一目置くような、素晴らしいワインが生み出されています。


ピノノワールの魅力に取り付かれた人々は、まるで熱狂的信者のようにブルゴーニュワインを愛します。
ある人は、最上のブルゴーニュワインを飲んだ感想を「真芯でボールをとらえたかのような感覚」と表現しています。

そんな一度ハマったら抜け出せない、ピノノワールの魅惑の世界。あなたは足を踏み入れま

ボルドーワインを支える名脇役! 『メルロー』

  • 縁の下の力持ち
  • 名脇役

そんな表現が似合う赤ワイン用ブドウ品種がメルローです。

しかし、名脇役を務めるためにはしっかりとした実力を持っていなくてはいけません。
それが証拠に、近年メルローは堂々の主役としても人気となっています。

ボルドーワインを支える存在

ボルドーの数あるシャトーは、世界的なブドウ品種カベルネソーヴィニヨンをメインにしてワインをつくっています。

しかし単体で醸造することは無く、必ず他の品種と共に醸造し、味の足りない部分を補完。より多層的な味と香りを実現しています。

そんなカベルネソーヴィニヨンの絶好のパートナーとなっていたのがメルローでした。
メルローが好む土地は、保水性の高い粘土質の土壌。これはカベルネソーヴィニヨンが好む土地とは真反対の存在です。

ボルドーを見ると、丘の上には水はけのよい土地が並び、低地の川沿いには粘土質の土壌が連なっています。

つまりボルドーにある2つの土壌を上手に利用するため、特性によりブドウを植え分けたのです。

ちなみにボルドー全体では、粘土質の土壌の方が多く、メルローのほうが多く栽培されています。

メルローの味わいは?

プラムのような酸味と香り。
ブラックチェリーやブルーベリーのような甘い香り。タンニンは少なく、全体的にまろやかな口当たりで優しい味わいが特徴です。

そのため、ワイン独特の渋さが苦手といった人にも飲みやすい、穏やかなワインといえるでしょう。

他の代表的な品種との比較で言えば、カベルネソーヴィニヨンはどんな条件でも結果を残す、とにかくやり手の勢いのあるタイプ。ピノノワールは気まぐれで周囲が気を揉み振り回されるけれども、その気難しさに惹かれる小悪魔タイプ。

そんななかでメルローは、光が当たらない地味な作業でもニコニコしながらいつでも全力で精一杯に頑張る。そんな健気なタイプです。

メルローが一躍脚光を浴びるきっかけ

長いこと、圧倒的主役であるカベルネソーヴィニヨンの引き立て役であったメルロー。
しかしあることをきっかけに、一躍注目を集め主役の座に躍り出ました。それがシャトー・ペトリュスの登場です。

シャトー・ペトリュスとは、ポムロール地方のシャトーです。
畑の面積が狭く生産本数も少ないため、世界でも最も高価なワインの一つとされています。

シャトー・ペトリュスは昔から知られていたわけではありません。
初めて日の目を見たのは1889年のパリ博覧会。ここで数々の銘柄を差し置いて金賞を受賞したのがペトリュスでした。ただこの時点では、ごく一部のマニアから注目された程度で、全く飛躍のきっかけにはなりません。

飛躍の時が来たのは第二次世界大戦後。オーナー自ら「ペトリュスこそ最高のワイン」と信じて必死のマーケティングを行なったのです。

ただオーナーは他のボルドーの一流シャトーと同じ価格での取引を求めたため、フランスのワイン商は相手にしませんでした。それでも情熱に負けた商人が支援。販路を広げていきます。

さらにニューヨークのセレブが集まるレストラン「ル・パヴィヨン」のオーナーもペトリュスに惚れ込み、来店するセレブたちにすすめました。

そのうちに、アメリカの上流階級ではペトリュスを飲むことが、成功の証し。もしくはステイタスシンボルとなり、ペトリュスの名前は爆発的に拡大したのです。

それと同時にメルローにも注目が集まり、脇役でしかなかったメルローが一気に主役級の扱いをされるようになったのです。

世界に広がったメルロー

現在メルローは世界各国で栽培される品種の一つとなっています。
例えばカリフォルニアでは、90年代以降栽培面積は爆発的に拡大し、人気も上昇しています。

カリフォルニア産のメルローの特徴はとにかく分かりやすく美味しいという点。背筋を伸ばし緊張感の中で飲むのではなく、笑顔で杯を重ねるのに最適です。

また、栽培条件が合っている事から、日本でも最近は注目を集め、次々と優れたワインが生み出されています。


一気にスターへの階段を駆け上ったメルローですが、持ち前の健気さは当然ながら顕在です。
気取らずにリラックスして楽しむ。そんな時間にピッタリなのがメルローではないでしょうか?

血の気の多い食べ物と相性良し!『シラー』

大器晩成な人がいるように、ワインの世界にもそんなブドウ品種があります。
ワインに詳しくない人にとっては初耳かもしれませんが、ワイン好きに取っては欠かせない存在。

同じ品種なのに、何故か国が変われば呼び名も微妙に変わる。
そんなブドウ品種シラーの魅力に迫っていきましょう。

シラーの特徴は?

シラーの持つ味わいの特徴で、多くの人が真っ先に挙げるのが野性味あふれるパワフルさです。ワイン自体の色も、赤というよりも濃紫やともすれば黒と表現できるような濃厚さがあります。

とにかく、リッチで力強い。それがシラーの特徴です。

フランスのシラー

シラーの産地で代表的なのが、フランスのコート・デュ・ローヌ地方です。
そのなかでもエルミタージュ、コートロティ、コルナスの3つの地域が良質のワインを生み出すことで知られています。

ただ、いずれの産地のワインも最低10年は熟成させないと実力を発揮してくれません。
より贅沢を言うならば20年を経てやっと飲み頃を迎えます。

もちろん若い状態で楽しむのも悪くは無いですが、あまりに力強すぎて飲んでいて疲れてしまうでしょう。

人間に例えるならば、若い頃は尖りすぎていて、近寄りがたく一緒にいるとこちらが疲れてしまうような存在です。ただ歳を重ねるうちに落ち着き、人間味が出てきて、魅力が前面に出てくるそんなタイプといえるでしょう。

巨大産地オーストラリア

シラーのもう一つの産地がオーストラリアです。通常シラーと呼ばれる品種ですが、何故かオーストラリアでは同じものをシラーズと呼んでいます。

オーストラリアはシラーズの栽培に適した気候であったため、栽培面積も拡大し、現在では全体の3分の1を占めるまでになっています。

味の面で言えば、オーストラリアのシラーズは渋みは殆どありません。これは発酵の途中でタンニンを含む皮とタネを除去して発酵を行なうためです。

ただ栽培時点で厳密な水分調整を行ない、味の凝縮したブドウを作っているため、決して味が薄いとか間延びしているという事はありません。

香りもスパイシーさは影を完全に潜め、甘くフルーティーなものとなります。
全く同じブドウ品種であっても、生育環境や醸造方法が異なれば、完成したワインの性格も大きく異なってくるのです。

熟成樽も異なる

ウイスキーの世界ではウッドフィニッシュという言葉があるように熟成に使う樽は、お酒の風味を決定付ける大きな要素となります。
当然ワインにとってもそれは同じこと。

ローヌのワインはフレンチオークの樽を使い熟成をしています。一方のオーストラリアのものは、アメリカンオーク樽を使用しています。

アメリカンオークの特徴は、ココナッツやキャラメルのようなどこかミルキーな感覚の風味を与えます。使用するブドウ品種が同じでも、樽が違えば完成品は全く異なったものになります。

ですので、どちらか一方の産地を飲んで、シラーの全てを理解した気になってはいけません。
最低限2つの産地のものを味わい、自分の好きな方向性を見つけるのが正解といえるでしょう。

血なまぐささとの相性抜群!

フランス産だろうとオーストラリア産だろうと、シラーを使ったワインは血との相性が抜群なことで知られています。

代表格となるのが、秋の狩猟解禁を待って楽しまれるジビエです。
家禽とは異なり、野性の中で生き延びてきた動物を楽しむのがジビエですが、使用される食材は、当然飼いならされた大人しい味ではなく、血の気の多い、クセの強い味わいとなります。

そんなクセのある肉とシラーを合わせると、不思議なことにとんでもない相性のよさを見せてくれます。

もっと手軽にというならば、レバーとの相性も抜群です。プルプルな状態に焼き上げたレバーをシラーと一緒に楽しむなんていうのは、卒倒してしまいそうな充実感を感じられるでしょう。


フランス産のシラーを使ったワインは、お値段もそこそこしますし、なかなか手軽には購入できないかもしれません。

しかしオーストラリア産となれば、お手ごろ価格で入手できます。まずはオーストラリアから入り、いずれは本国フランスを楽しむ。そんな作戦でシラーの世界を楽しんでみてはいかがでしょうか?

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