海でも陸でも賊が跳梁跋扈するソマリア

Sketch of pirates on the sea

日本の自衛隊も海賊対策に派遣されている「ソマリア連邦共和国」。東アフリカのインド洋とアデン湾に面した「アフリカの角」は「治安の悪い地域」の代名詞とも言えるほどの地域になっています。

何故、ここまでソマリアは治安が悪化してしまったのでしょうか。

近代に入り、混乱しかしていない国家・ソマリア。

元々は、古代エジプト時代に「プント国」として発展していた地域にソマリアはあります。紀元前26世紀にはエジプトのクフ王との交流があったとの記述もあり、古くから栄えていた地域でもありました。

しかし、1800年代からイギリスやイタリアが領有し、支配・搾取してしまい大きく運命が変わってしまうのです。

1960年に独立を果たすものの、クーデターが起きたり冷戦の影響を受けアメリカ・ソ連参入など内政だけでなく世界情勢が原因の混乱もあり、常に政情不安定。そもそも「治安が悪い」以前の問題で、統治する国家自体の存在が問題なのです。国名も1960年からは「ソマリア共和国」、1969年からは「ソマリア民主共和国」、2012年からは「ソマリア連邦共和国」となっており、一定の国家運営自体ができていません。

しかも1991年から2012年までの間は「正式な国名が存在しない」、という状態。そして、現在も事実上の無政府状態は続いています。混乱しすぎて産業も成り立たず、取り締まりも行われ難い為、「海賊」が最も稼げる「職業」なのです。

何故、ここまで混乱しているのでしょうか?

基本的には中東や他のアフリカ諸国と似た混乱の理由があります。

「部族間対立」と「欧米の都合で引いた国境線」。ソマリアは1960年の独立時、アフリカでは珍しく民主主義国家として独立しました。しかし、欧米の植民地政策は欧米各国が統治をし易い様に境界線を引いたのです。カタカナの「フ」の字の様な国土の形をしたソマリアは南北の差もありますが、自然の山河や住んでいる人間・部族を一切無視した直線ラインが存在します。

そんな「人為的な国境」の中に押し込まれた各部族が政治を求められた時に、部族が政党となり、少数政党の乱立で政治が混乱するのです。

1969年には、シェルマルケ大統領が暗殺され軍事クーデターが勃発。モハメド・シアド・バーレ少将が政権をとり、憲法停止、民主主義政治から社会主義政治の転向を目指します。バーレ就任後は更に国内が混乱し、バーレ政権に批判が集中しますがその批判の声を弾圧する独裁政治が開始されるのです。

しかも、バーレ政権は「大ソマリ主義」を掲げ、隣国エチオピアと揉めた挙句に1977年に戦争を起こします。この独裁政治当時、世界は冷戦の時代。ソ連、アメリカ双方が自身の勢力拡大を目的にアフリカへ進入してくるのです。

社会主義のソマリアでしたが、アメリカが支援に入ります。エチオピアにはソ連が支援。国内でもバーレ政権への不満は抑えきれず、ソマリアは国内外で大混乱。1991年に、反政府勢力が強くなりバーレは亡命、バーレ独裁政権は終わることになります。

しかし、独裁政治が終了してもソマリアに平和は訪れません。

反政府勢力は分裂、イスラム強硬派を中心とした武装集団が政治的対立を繰り返します。そんな「自分の思い通りに行かなければ襲撃する」という武装した政党が乱立していれば、平和な統治などは成立するはずがありません。内紛が内紛を呼び、国内で虐殺行為が横行する事になるのです。

国連がPKO部隊を派遣するも、多国籍軍を派遣するも治まりません。結果、現在ではイスラム過激派のテロ組織や海賊が跳梁跋扈する大地になってしまったのです。

混乱しすぎて、名作映画の舞台に

2001年のアメリカ映画『ブラックホーク・ダウン』は、1993年のソマリアで起きた「モガディシュの戦闘」をテーマに描いています。監督、リドリー・スコット。主演、ジョシュ・ハートネット。アカデミー賞で編集賞と音響賞を受賞しています。

2013年のアメリカ映画『キャプテン・フィリップス』は、2009年にソマリア海賊の人質となったリチャード・フィリップス船長を描いた伝記映画。監督、ポール・グリーングラス。主演、トム・ハンクス。アカデミー賞の作品賞、脚本賞を始め、多くの国際映画賞を受賞しています。

ソマリアの現実が酷すぎて、「実際起きたソマリアの現実を描いた」名作映画も多く存在してしまいます。

現在とこれからのソマリア。

内戦で経済も治安も崩壊し、世界最貧国の一つであるソマリア。平和基金会が出した「失敗国家ランキング」で3年連続1位。紛争などの危険地帯に医療を届ける国境無き医師団すらも2013年に撤退。

世界汚職国家ランキングで「最悪」という評価を受けました。

女性への人権侵害も問題で、強姦は横行し犯人が逮捕される事も少ないとされています。むしろ、強姦女性被害者への風当たりが強かったり、最悪のケースでは殺される事も。女性下着のブラジャーを着けていた、という理由で公開鞭打ちが執行されました。

現実的な課題としては、周辺国に流れるソマリア難民とアルカイダなどのイスラム系テロ集団の関与があるでしょう。自衛隊も海賊対策として護衛艦を派遣していますが、先行きは不透明です。一刻も早く無政府状態からの脱却を願うばかりです。

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