イタリアとギリシアの飲酒事情

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地中海に面するイタリアとギリシア。「ギリシア・ローマ文明」の歴史を共有していたせいもあってか、私たちから見ると、この両国はなんとなく似ているようなイメージがあります。しかし両国のお酒の飲み方やお酒に対する考え方は、真反対と言っていいほどの違いがあるのです。

ワイン好きのイタリア

フランスに次いで世界第二位のワイン生産国であるイタリアでは、たくさんのワインが飲まれています。しかしイタリア人がワインを飲むのは、食事の時だけに限られます。イタリア人は、食事中にワインを飲むのは「当たり前」であり、また体にも良いと考えています。イタリア人にとって、ワインは酔うためのものではなく、食事に欠かせない滋養飲料のようなものなのです。

こういう発想ですから、子供に水で割ったワインを飲ませるのも、別段不思議なことではありません。かつては、離乳期を迎えた赤ちゃんにワインを与えたり、幼児が夜泣きをすると哺乳瓶にワインを入れて飲ませたりすることもあったそうです。

 

酔うのはご法度

でもだからといって、イタリア人が酒にだらしないというわけではありません。イタリアでは、食事以外の場でお酒をガブ飲みする人はあまりいません。お酒のガブ飲みは「悪癖」であると考えられており、酔っ払うのは「格好悪いこと」とされています。イタリアで生産されているブランデーの一種「グラッパ」のように、アルコール度数の高いお酒を食後酒として飲むこともありますが、グラスに少量入れてちびちびとすする程度です。食後でもないのに一人でグラッパをグイグイ飲もうものなら、アルコール依存と見なされるのがオチです。

そうした背景があるからか、イタリアでは、酒は飲めても主義で飲まない「アステミオ」と呼ばれる人たちが少なくありません。

 

蒸留酒好きのギリシア

ギリシアで一番ポピュラーなお酒は、ブドウの茎にアニスという植物を加えた蒸留酒「ウゾ」や、ワインの絞り粕から作った蒸留酒「ツィプロ」です。ギリシアには、「カフェニオ」というコーヒーやお酒を飲ませる、男たちの社交場のような店があちらこちらにあるのですが、ウゾやツィプロは、このカフェニオで飲むお酒とされています。

カフェニオは、午前の間は、挽いたコーヒー豆の粉を煮出したギリシアコーヒーを小さなカップで飲む客が中心です。しかしお昼時を過ぎると、カフェニオは一杯ひっかける店に変わります。夕方になる頃には、仕事を終えた男たちがウゾやツィプロを求めて店内にやってきます。

男たちは、タコのオリーブ漬けや缶詰イワシ、肉類、キャベツ、ジャガイモといった様々な「メゼ」(つまみ)をちくちくやりつつ、またコミュニケーションを楽しみながら、家に帰るまでの間ウゾやツィプロを楽しみます。こうしてカフェ二オは、夜になるとすっかり酒場と化すのです。

 

酔うのはいいが、場をわきまえて

ギリシアはイタリアと違って、酔っ払うことは悪癖とも格好悪いこととも思われていません。ですからギリシアの男たちは、カフェニオでベロンベロンになるまで飲むことができます。

しかしひとたび家に帰ると、ウゾやツィプロに手を出す男はまずいません。食事中は飲みませんし、イタリアで見られるような食後酒の習慣もありません。ウゾやツィプロはあくまでカフェニオで飲むものであり、家で飲むものではないのです。また身近な年長者がいる場合は、若者はお酒を控えます。ですから、カフェニオでおウゾやツィプロを煽っている男たちは、自然と年長者に偏りがちになります。

このように、ギリシアにはギリシアなりの「お酒の節度」というものがあるのです。

 

変化する飲酒事情

近年では、お酒に対する意識もだいぶ変わってきています。特にイタリアでその傾向が強いようです。イタリアでは若者を中心としたワイン離れが進んでいて、ワインの消費量は減少の一途をたどっています。

と同時に、やはり若者たちを中心に、過剰飲酒やアルコール依存が広がりつつあります。食事をしながらワインを飲むのではなく、パブやバーでお酒だけを飲むというスタイルは、イギリスや北欧で見られるものです。このスタイルがイタリアにも広まっていることが、過剰飲酒やアルコール依存の原因の一つだと考えられています。

こうした変化が、イタリアやギリシアのお酒に対する価値観とどのような齟齬を起こしているのか、興味深いところです。

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