星の等級の決め方?なんと基準の北極星が、明るさが変わる変更星だと判明!

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夜空を見上げると多くの星々が色々な色と明るさで見えます。星の明るさは「等級」で現されることは皆さんご承知かと思います。

肉眼で見えるギリギリの等級が「6等星」と言われていますが、大都会のど真ん中では3等星くらいしか見えません。そもそも人間の視力は人それぞれなので、「肉眼で見えるギリギリの星が6等星」と言われても、目が悪い人には無駄なような気がしませんか?

じつは星の等級を決めるにあたり、紀元前二世紀から今日までの長きにわたり紆余曲折を経ているのです。

古代ギリシャの賢人、ヒッパルコスが等級を決めた!?

冒頭にも書きましたように「等級」という概念を初めて考え出したのは、紀元前二世紀ごろのギリシャ人であるヒッパルコスです。

ヒッパルコスは、肉眼で見える星の中で最も明るく輝いている星を20個選び出しました。その20個を「1等星」、次に明るいと思われる星を「2等星」と決め、肉眼でかろうじて見える星を「6等星」とグループ分けしました。当時は望遠鏡などなく、肉眼で見える星が、宇宙に存在する全ての星でした。今の時代からしたら、いい加減なグループ分けに思えますが、実は現在の等級の基本になっているのです。

特筆しておくことは、ヒッパルコスが選んだ明るい星20個はすべて恒星です。恒星より明るい惑星は含まれていません。

時代がさかのぼり19世紀!ついに数式が等級に反映る?

Multiethnic Group of People with Formula on Chalkboard突然19世紀まで飛んでしまいましたが、観測技術が向上してくると星の明るさを数値的にしっかりと決める必要が出てきました。

1850年ごろボグソンという人物が、数式によって定式化しました。この定式化の基礎となっているのは、「1等星は6等星の100倍明るい」ということでした。

そこで、ここを出発点として等級の定義を考えることになったのです。ここからは数学が苦手な方は「なるほど~」程度で大丈夫です。

1等星から6等星までの等級差は5等です。5等明るくなると100倍明るくなるということは、1等明るくなると約2.5倍明るくなるということで。1等星は2等星の2.5倍明るい、2等星は3等星の2.5倍明るいということになります。そうやっていくと1等星は6等星の100倍明るい、ということになるわけです。

しかし、ここで疑問が湧き上がってきます。
「どの星を1等星にするか!」という基準がないと「一等星は六等星の100倍明るい」と決めたところで、等級を決める時の基準になる星はどれだという話になってきました。

皮肉!?なんと基準の北極星が、明るさが変わる変更星だと判明!

imasia_15081448_Sボグソンが最初に定式化した時には「ヒッパルコスが選んだ20個の星の平均の明るさを1等星とする」としていたらしいのですが、「平均」というものが実にあいまいだったので、使いにくかったようです。そこで「北極星を2等星にする」と決めました。これなら「ある星の等級を調べたければ北極星と比較することで求められる」、という結論に達しました。

しかしさらなる問題が起き上がったのです。

観測技術は日々進歩していきます。その結果、北極星が周期的に明るさの変わる変光星だということが判明しました。

今の観測技術ではその変光差はごくわずかだとわかっていますが、それでも変光星を基準にするわけにはいかないということになりました。

大迷走の基準星選び!?これが現在の基準星「こぐま座のラムダ星」

現在ではこぐま座ラムダ星を6.5等星と基準を置き換えました。ジョンソン・モルガンシステムと言います。
この基準に沿っておもな星を等級で現すと、
太陽・・・マイナス26.72等星
満月・・・マイナス12.5等星
シリウス・・・マイナス1.46等星(現在全天で一番明るく見える星と言われています)
ベガ・・・0.03等星
スピカ・・・0.98等星
アンタレス・・・0.04等星
デネブ・・・1.25等星
になります。

1等級から6等級の星の数は、1等星(21個)2等星(67個)3等星(190個)4等星(710個)5等星(2000個)6等星(5600個)もあります。
しかし、ここでまた問題が持ち上がりました。

フィルターを使って等級を決める

星が出す光の種類はたくさんあります。赤外線をたくさん放出している星もあれば、紫外線をたくさん放出している星もあります。

つまり、どの光で星を見るかによって星の明るさは変わってきます。そこで「Vバンド」という可視光(人間の目に見える光)だけを通すフィルターを使って星を観測した時の等級を決めました。私たちが普段耳にする等級は、この方法で決められたものです。しかし、ややこしいことにどのフィルターを使うかによって星の明るさは変わってきます。赤外線での測光システムではベガを0等星と基準においています。

ここまで説明してきますと、天文学者は割り切れて絶対的に正しい方法を見つけないと気が収まらない人種だというのが理解していただけるでしょうか。

銀河カタログが発端となったAB等級とは

宇宙図を作るために一億個の星と銀河のカタログを作ろうという壮大な計画(SDSS)の一環で、このデータベースを元に新たな等級の基準を作ってしまおう、という話が持ち上がりました。AB等級と呼ばれるこの方法では、ベガを0.03等とする基準を取っています。
しかし、ここまでは実視等級の話であって、実際には同じ明るさの星でも地球から遠くにあれば遠い星は暗くなります。

「実視等級は星そのものが持つ明るさとは異なり、実際の星の明るさを等級で現すのが当然である」、という考え方が出てきました。

実際の星の明るさを基準とした絶対等級!太陽はどこにでもある星だった?

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「もし、その星が10パーセクの距離にあったとしたら何等星に見えるか?」という等級の決め方です。
パーセクとは、天文学で使われる距離を表す単位。1パーセクは3.26光年です。

絶対等級で見た主な恒星(下にいくほど明るい星)

太陽:4.38
シリウス:1.4
ベガ:0.6
スピカ:-4.2
アンタレス:-4.9
デネブ:-7.4
太陽は宇宙の中で見ると特別に明るい星でもなんでもなく、ごくありふれた普通の主系列星に過ぎないのです。
どうでしたか?
星の明るさ一つ決めるにもこんなにも多くの方法を考え、地球から見た明るさと宇宙の中での明るさの違いまで天文学者は追及しています。

私達素人は実視等級で見える明るい星を頼りに、それよりも暗い星、明るい星を探して眺めています。一方の天文学者は「宇宙から見たら」、と目線を宇宙空間に移して星を眺めているのです。

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