温泉の科学①(ラジウム温泉にまつわる話)

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温泉好きなら「ラジウム温泉」という名前を一度は聞いたことがある方が多いと思います。そしてラジウム温泉から出ている放射線が健康に良い効果をもたらすことを知っている方もきっと多いことでしょう。ここではラジウム温泉の効能について触れていきたいと思います。

なぜラジウム温泉が健康にいいの?

放射線というと何だか怖いイメージがありますが、なぜそれが健康に良い効果をもたらすのでしょうか。

まず、ラジウム温泉からはラドンという気体が発生しています。ラドンにはビタミンCやビタミンEを上回る抗酸化作用があると言われています。そして入浴中にこのラドンガスが呼吸とともに肺に取り込まれます。肺から吸収されたラドンガスがさらに血液中に溶け込んで全身に運ばれるわけですが、その過程で抗酸化作用が発揮されるという仕組みになっています。

具体的な健康効果としては、慢性リウマチ・脊椎炎・神経痛・関節炎・喘息・アトピー性皮膚炎などに効果があると言われています。

 

放射線ホルミシス効果とは?

「放射線ホルミシス」と呼ばれる効果についてもお聞きになったことがある方が多いのではないでしょうか。

大量の放射線を一度に浴びれば非常に危険ですが、微量の放射線であれば人間の自然治癒力を刺激・活性化するというのが放射線ホルミシス効果です。微量の放射線がちょうどホルモンのように作用するというのが「ホルミシス」という名称の由来になっています。

1982年にアメリカのミズーリ大学のトーマス・D・ラッキー博士によって米国保健物理学会誌に発表されました。

このような例は他にもたくさんあります。例えば紫外線です。紫外線を浴びすぎれば皮膚がんの原因となりますが、少量の紫外線は活性ビタミンDを体内で作るために必要です。

そして、この放射線ホルミシスの理論を根拠にラジウム温泉の効能がうたわれ、オーストリアや日本、ロシアをはじめ、世界中に療養のために活用されるラジウム温泉が存在します。

 

世界の有名なラジウム温泉

これまでラジウム温泉の効能についてざっとお話してきましたが、世界にはどのような有名ラジウム温泉があるのでしょうか。その実例をこれから見ていきましょう。

まず、一番有名なのはオーストリアのバドガシュタインにあるガスタイナーハイルシュトレン治療坑道でしょう。坑道の天然ラジウム鉱石から発生する低線量の放射線に治療効果があるとされ、世界中から人々が訪れています。お湯につかるわけではないので厳密には温泉ではありませんが、熱と高い湿度の中で汗をかきながら坑内に充満するラドンガスを身体に取り込むことで健康効果が得られるとされています。

なお、バドガシュタインで採掘されたラジウム鉱石は日本にも直輸入され治療用として販売されています。

そして、温泉療法で有名なのが台湾の北投温泉や日本・玉川温泉(秋田県)です。北投温泉は台北市北投区にある温泉街で、天然のラジウム温泉です。また、硫黄の成分も多く街全体にその臭気が漂っています。

北投温泉にある公衆浴場、瀧乃湯の前を流れる川で日本人学者岡本要八郎によって発見されたのが北投石で、これは微量のラジウムを含んだ湯の花が、数千年の歳月をかけて石灰化したものです。北投石が産出するのは世界でも北投温泉と玉川温泉のみで、非常に珍しい鉱物となっています。なお、玉川温泉の北投石は1952年に特別天然記念物に指定されています。

玉川温泉は江戸時代初期に地元のマタギによって発見され、ちょうどそのとき鹿が傷を癒しているところであったことから「鹿湯」と古くは呼ばれていたそうです。温泉地として開かれるまではマタギや鉱山夫だけが利用するまさに秘湯でしたが、現在は年間25万人も湯治客が訪れる屈指の温泉となり、宿泊の予約が取れるのも半年から1年先となっているそうです。

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